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Archive: 2014年09月

銅版画の技法について

時々、技法について尋ねられるのですが、一言で説明するのは難しいです。
大体、私は「小学生の時に木版画をやりませんでしたか?木版は彫った所が白くなりますよね?銅版画は逆で、溝にインクを詰めてプレスするんですよ」(凸版と凹版の違い)とか「10円玉の銅です、あの板を腐蝕させて版を作っているんです」(身近な物で伝える)などと説明するのですが、毎回「は??」という顔をされます・・・。
やってみるのが理解するのには一番早いんですけどね。なかなか設備がなくて、試してみるチャンスがないかもしれません。
あと、私の場合はオーソドックスなやり方ではなく、自分で技法をアレンジしている部分があるので(人に指導する時にはオーソドックスなやり方を伝えますが)、説明しづらい部分もあります。
一応、簡単に説明すると・・・

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腐蝕する前の銅板はこんなにピカピカです。
(映り込んでいるのは私ではなく、イラストレーターのclaraちゃんです)

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その銅板にグランドという保護膜を塗って、乾いたらニードルという針のようなもので描いて、第二塩化鉄とか硝酸とか酸性の液体に入れてニードルで引っかいた部分を腐蝕させていきます。
銅像やお寺の屋根が青緑色になっているのを見かけたことはありませんか?
あれは銅が酸性雨などで腐食されて緑青(ろくしょう)が出ている状態です。
簡単にいうと保護されている部分は腐らないけれど、ニードルで保護膜を引っかいた部分は腐って、溝になっていく→それがエッチングの技法です。
・松脂を使ってグレートーンを作る→アクアチント(広い面積で腐蝕させる)
・アラビアゴムと砂糖を混ぜたもので描いた線を腐蝕させる→シュガー・アクアチント(筆で描いたような線が表現できる)
・ニードル等で直接引っかく→ドライポイント(インクが引っかかる為に滲んだような線になる)
・ビュランで直接彫る→エングレービング(お札の絵などはこの技法で彫られている)
・目立てをした版を削っていく→メゾチント(まっ黒の画面を消しゴムで描いていく感じ)
その他に、写真を使って製版することもできますし、レースや葉っぱの模様を張りつけることもできますし、面で腐蝕させて一版多色刷りすることもできます。
私は水のようなマチエールが欲しかったのでグランドをマーブリングしてアクアチントをかける技法を生み出しました。
生み出したと言っても、一版多色刷りを発明したアトリエ17のヘイターさんやメゾチントの自動目立て機を作ってしまう深沢先生に比べたら、大したことではないのですが・・・。
そんな感じで色んな技法を使って、実験のようなことをしながら製版していきます。
版が完成したらインクを溝に詰めて、プレス機に版と紙を置いてプレスします。
簡単にいうと、そんな感じです(笑)!

銅版画をやってる方からしてみたら「この説明は省略しすぎだよ!」ってツッコミたくなるでしょうし、やったことない方からしてみたらチンプンカンプンかと思われます・・・。
10月のグループ展では徳持先生による版画レクチャーが行われるので、興味のある方はご参加ください。
ギャラリー素的 地図

 

グループ展のお知らせ

鳥取市にあるモデルハウス兼ギャラリー行われるグループ展に参加します。

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日時・10月10日(金)~10月14日(火)
10:00~17:00
場所・鳥取市古海704-2
ギャラリー素的
オープニングパーティ・10月11日(土)18:30~

オープニングパーティにはワンコインで誰でも参加できますよ。

商売繁盛の絵

個展の準備をしていた夜にお会いした方で疱瘡絵というジャンルの浮世絵を研究している方がいらっしゃいました。
そもそも、疱瘡絵って何?って感じですが、その昔、この絵を観たら病気が治るよ的な絵があったそうですよ。
何でもかんでも薬で治してしまう現代からすると「そんなもんで治るかい!」と言いたくなりますが、歌川国芳など有名な絵師も描いていたり、お見舞いなどにも使われたそうです。
個展初日に精神科医の方がいらして、早速、疱瘡絵について話しましたら「そういうことはあるかもしれないねぇ」とプラシーボ効果について教えてくださいました。
私の絵も「飾ったら商売繁盛する絵」としていかがでしょうか(笑)?
京都から帰った後にエビスヤ画材さんから「ショーウインドウに飾ってます」と写真付きのお便りをいただきました。それがこれ↓
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エビスヤ画材さん地図
エビスヤ画材さん自体は日本画の画材屋さんでずらりと並んだ岩絵の具が素敵な所でありました。
日本画の技法を知らぬ者でも孔雀石やラピスラズリを使って絵が描けたら楽しいだろうな、と思いを巡らしたりしました。

エビスヤ画材さんのショーウインドウに飾っていただいたものは売り物ではありませんが、鳥取市のお店が売り物として置いてくれることになりました。
私は工房も構えてないし、取扱い画廊があるわけでもないので、ゲリラ的に個展をしてじわじわ知っていただくしかないのですが、「ここで扱ってるよ」と言える場所があるといいな、と思っていました。
どこでもいいわけではなくて、自分がいいと思ったお店がいいわけです。
ファミレスより澁澤龍彦の書斎に自分の絵があった方がいいじゃないですか!
まぁ、価値観は人それぞれですが・・・。
そんな私の小作品を置いてくれるのはこちら↓

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邯鄲堂さん

鳥取駅から徒歩10分くらいの商店街にある古本屋さんで、店主は浪人中に知り合った友人です。
お店の中はこんな感じ↓

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本棚を撮るのを忘れたのですが、売っている古本も古道具も一つ一つ観ていて飽きません。

前後で出会った人②

京都で個展をしたことが昨日見た夢みたいになってきて、日常という砂に埋没する日々に戻り、あそこにいたのはほんとうに自分だったのだろうか?と思えてきました。
しかし、京都で知り合った何人かの方から個展後、メールをいただき「確かに、私は開いたのだ」と思い返すのです。
個展直前に島根県立美術館で木版画のK先生のワークショップをお手伝いさせていただくことがあったのですが、その後の飲みの席で「作家の論文は個展だ!」と言われていました。
多分、作家が日々制作しているのは研究者が研究したり、学者が論文を書いたりしているようなものと同じで、個展はその発表の場であるということを言われたいのだと思いました。
今回はタイミング良く京都を発表の場としていただけたわけです。
京都で感じたのは「京都の人は京都が好き!」ということです。
私は現在、鳥取に住んでおり、その前は15年間、東京に住んでおりました。
どちらにも、愛着があるようなないような感じで、帰る時は「猫がいて、制作ができればどこでもいいんじゃないか」と思ってANAにジャック(猫)と乗り込みました。
帰ったら帰ったで、ちっとも良くなくて、逆カルチャーショックを受けて、適応障害とか診断名がつくんじゃないかと思うぐらい、いちいち落ち込んだり、イライラしたりして(特に、人に馴染めなかった)、その内に色んなことを諦め・・・じゃなくて、受け入れられるようになってきました。
あれ?何の話だったっけ?
「京都の人は京都が好き!」の話ですよ!
個展中、「大学は?」と訊かれて「東京の・・・」と言うと「東京に憧れがあったの?」と言われたりして「へ??行きたい大学がそこにあったから、そこに行っただけなんだけど」と思ったりしました。
つまり、田舎者だから東京に行きたかったんだろうという感じなんだな~と。
(京都の方の東京に対するライバル心はハンパないです)
私は小さい頃、親に何度か東京に連れられて行ったことがあったり、高校の美術の先生が多摩美を出ていたので(たまたま、教育実習生もそうだった)、なんとなくそのまま「よし、そこに行こう」と思ったのですが、まっさらな状態だったら自分で全国各地の美大を探し、京都の大学も受けたりしたかもしれません(そんな軽いノリじゃ受からないだろうけど)。
京都では「京都精華でした!」とか嘘をつけばウケが良かったかもしれません(笑)
京都に何の縁もないので「母が京女でした!」とか、そんなどうでもいい情報で繋いでみました(そこは嘘じゃない)。
そこで、K先生に戻るのですが、転々と幼少期を過ごされていたらしく、どこに行っても縁の地、みたいな感じで「これも一種の処世術なのかな~」と思って見ていたのですが、京都にもご縁があるのかK先生の京都の知り合いの方がいらっしゃいました。
そして、「迷った」、「結構いいな」、「どうやって此処見つけたの?」とだけ言われて帰られました。
後で、浮世絵の刷り師の方だと判明して「ああ!もっと何か話せば良かった!」と思ったりしたのですが、まぁ、仕方ない。
そして、その夜、高台寺の夜間拝観に行ったのですが、その帰りに「朝・起きた時間から/夜・寝るまで」という営業時間を掲げた何屋かわからない店(?)を発見!
なんと、そこは刷り師の公開工房でした。
何それ!って感じですよね。
しかも、お昼間にいらした刷り師の方と知人でした。
そして、ちゃっかり自分のポストカードをそこに置いてもらいました。
京都に縁のない私ですが、個展を開いたことにより、京都に少し縁ができ、自分の生きている痕跡を残せて良かった、と思うのです。

そこで一言、「個展はライブに似ている」。
今のところ、それが私にとって個展の定義です。
少しずつ作り溜めたものをドーンと一気に披露して、その後、形あるものは何も残らないけど、何人かの記憶には残る。
正に、「束の間の幻影」ですね。
そんな幻影もよろしいですが、繰り返し見るのもいいものですよ。
「また、観てみたいな」
そんな時にはこちらでポストカードをどうぞ。

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中に入ると面白いおじいちゃんが出てきます。
市村一房堂

 

 

前後で出会った人①

個展中、こんな人に出会った~という話ばかりで一向に「こんな個展内容で、こんなコンセプトでやりました!」的な話にならないですが、また、他人の話をします。
個展が始まる前に会った同い年の女性と終わった後に出会ったおじいちゃんの話です。
個展が始まる前に出会った同い年の女性は桂藤陽子さんといって、地元でwebデザイナーをされている方なんです。私が「誰か!個人のHPをきちんと作れる人いないですか?!」と訊いていたところ出会った方です。
「個人の」という点と「きちんと」という点が重要だったんです。
「会社のHP」とか「病院のHP」とかを作ってくれる会社に私のHP作ってとか頼めないもん。
で、なおかつ私がその昔作ったHP(10年前ホームページビルダーで作った)なんかよりプロっぽい感じじゃないと意味ないと思ったのね(急にタメ口)。
そしたら、ほんとうに全ての条件をクリアーしている運命の人が・・・。
正に、ファム・ファタール(運命の女性)!
ファム・ファタールだと男を破滅させる魔性の女という意味合いもあるからちょっと違うか。
それが、桂藤さんなんですが、桂藤さんはカフェで1回だけ会って、私が「こういうイメージでこういう風に作ってくれ」と喋りながら、紙にラフスケッチみたいに書いたのをそのままバージョンアップさせて作ってくれたのです。
ーと書いてしまえば、簡単なようですが、「今まで私はこんなことをやっていて、今、これこれこういう状況で、いついつまでに作って」とか、できた後も「ここはこうして」とか「これを足して」とか「ここを教えて」とか・・・気づけば、私はとても面倒臭いクライアントになっていたのです。
そうは言っても、自分のHPなので主張しないわけにはいかないので、どんどん言っていましたが「はぁ~?面倒臭せぇな、お前みたいな小娘のHPをなんでオレ様が作ってやらんといけんのだ」みたいな雰囲気は出されない(きっと、そんなこと思ってないから)ので、助かりました。
その後も、特に「このHP、あたしが作ったの、すごいでしょ!」みたいなことはされずに、私の個展前にHPのPRをしてくださいました。
きちんとコミュニケーションも取れるし(関係がこじれないって大事)、仕事も頼んだ通りにしてくれるし(変な自己流の解釈みたいなものをねじ込んでこないって超大事)、偉そうにしないし(上から話されるともうムリ)、桂藤さんに頼んで良かったな、と思いました。
というわけで、今現在、blog更新したり、travelに写真をアップしているのは作家本人なのですが、HPはwebデザイナーさんに頼みました(ロゴも桂藤さんが作ってくれた。名刺もこのロゴを使っています)。
あ、個展後に出会った刷り師のおじいちゃんの話が書けなくなりました。
それはまた、次回に。

桂藤陽子Facebook

 

個展の様子③

 

個展が終わった後にギャラリーにいる自分の写真をブログに載せましたが、あれはギャラリーにいらっしゃった方が撮ってくださったものです。
蒼樹さんは物作りをする方を写真に撮っている方で、初めてお会いした時はバッグを作る女性とギャラリーの裏にあるイタリアンに行かれようとしていたところでした。

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↑後日、私も行ってみました。

蒼樹さんの撮ってくださった写真はカラーのものもあります↓

IMG_8273 - コピー

こんな風に自分の写真をブログに載せて、「無防備すぎる!」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、オバサンになって「もう別にストーカーとかされないでしょ、平気平気」って感じです(昔、ブログをやっていたら、元カレが嫌がらせでアダルトサイトにリンクを貼ってきたりしたことがある)。
それより、個展を観に来てくださった方が興味を持って、後で私のHPを観に来られる(という可能性)の方が大事!
今回、自分のHPを作るって決めた後、先輩の田中六大さんという絵本作家の方が、昔、「本名でブログ公開してるのって頭おかしいのかな?ぼく」的なことを書かれていて、そのことを思い出したりしました(笑)
頭は大丈夫なんだけど(多分)、ビジュアルが劣化しています。
HPのprofileのページに使った写真は4年前のもので、今回の個展で玄関先に貼っていたプロフィールの写真は6年ぐらい前かな(違うカメラマンなので、写真の雰囲気が全く違う)。
会期中、さすがにこれは「看板に偽りあり」のレベルなんじゃないか、と思いました。

図1

↑それがこれ。
誰?って感じですよね。
私はカメラマンに「写真を撮らせてください」と言われたら、恥ずかしがらずにモデルをすることにしています。
何故なら、それをいただいて今後のプロフィール写真するから!
写真をやっている方に撮っていただくと、写真が作品化するんですよ。
当たり前なんだけど、すごいな~と素人の私は思うわけです(travelのページの写真は自分が撮ったものですが、使い捨て~デジカメ~写メと経ていて「一眼レフで撮りました!」みたいなのはありません。自分が面白いな~と思う画を記録しているだけで、技術はない)
次回、プロフィールを作る時は今回、蒼樹さんに撮っていただいた写真を使わせていただくつもりです。

蒼樹さんのブログ
 http://soujyu2.blog59.fc2.com/