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Archive: 2016年02月

奇跡のような人

鳥取に帰ってくる前に、母親が「こっちにも工房があるから」と教えてくれたことがあり、帰る前に調べて電話をしたことがある。
それが例の鳥取の工房の先生なのだが、会ったこともないのにマシンガントークで自分のことをベラベラ喋り、こちらのこともズケズケと訊いてきた。
その電話一発で「こいつはヤバイ」と思ったし、HPで見た作品も「なんじゃ、こりゃ」と思った。
だけど、まぁ、鳥取だし、仕方ないよね~、魂売って生きていくしかないよね~と割り切って、その工房に入ることにした。
工房に通っている全員に私のプロフィールはベラベラと喋られており、その後もズケズケと個人情報を訊かれ、その度に言いふらされるという田舎にはプライバシーもデリカシーもないという洗礼を受けた。
その工房まで電車で片道1時間、1000円かかるのだが「通える通える」と気楽に言われ、通い始めたのだが、都会の通勤1時間と田舎の1時間は違う。
まるで、時が止まっているかのようだった。
休みの日に往復2時間、2000円使って、1日仕事でその工房に通っていたが、何もしないよりはマシだった。
だが、私は制作をしに行っていたのに、工房の先生は私を洗脳すべく自分の過去の栄光を1時間も2時間も一方的に喋るという時間泥棒な人間であった。
地元のテレビに出た映像を見せられたり、ニューヨークで個展をしたこと(300万かかったと言っていたので、騙されていた可能性もある)をパワポで見せられたり、とにかく、苦行でしかなかった。
挙句、学歴コンプレックスもお持ちだったため、「美大出てる奴なんて何も知らないよね」とか「美大なんか出ても何もならないしね!」というのが口癖であった。
この人の言うことはほぼ村上隆の本の受け売りで、芸大で博士号取った村上隆が「アートに学歴は関係ない」と言うなら納得できるが、先生に言われても単なるやっかみにしか聞こえなかった。
自慢話も劣等感の入り混じった毒も「はいはい」と聞き流して、私は制作する為だけに工房に通った。
ただ、あの手この手で何とか人を利用して自分を大きく見せようとする人なので、私も散々な目に遭ってきた。

 

エピソード1
私に知り合いの学芸員とカフェのオーナーを紹介してきて、博物館でワークショップをしようという話を先生が持ち掛けてきた。
先生がやるのではなく、私の名前で全部私がやることになったので、材料なども私が購入した。
「ニードル2、3本じゃ足りない!」と言われ、20本購入!(実際の参加者は2名でした)
紙もインクも「こんなにいらんだろ」というぐらい買わされて、「ぼくが画材屋に支払っておくよ!」と言われてお金を払った。
・・・ほんとはあんなに材料は必要ではなかったし、ほんとうに画材屋に支払われていたんだろうか?ただ、手持ちのお金がなかっただけなのではないだろうか・・・と思っていた(日頃の言動からして)
なんで、私の名前でワークショップをやれと言い出したのかというとまだ地元に馴染みのない人間の方が新鮮で人が集まるというのと、私の経歴の方が自分より人が呼べると思ったからで、ワークショップに参加した人に「銅版画、やってみたいんですけど、どこでできるんですか?」と訊かれれば、私が鳥取の工房を紹介して、自分の工房の生徒を確保できる!という考えからであった。
自分の懐も痛まないし、当日の手伝いをしなくても私は一人でできるし、失敗しようが何しようが矢面に立っているのは私だけである。
ナイスシステム!と思っていたであろう。
実際、参加者の方に「もし、ご興味がおありでしたら、〇〇先生の工房でできますよ」と一応営業もしておいたが、「〇〇さんのことは知ってるけど、あの人の所には行かない」と言われた・・・人望ねぇ~。
ワークショップの宣伝も「記者クラブにプレスリリースを送りなさない」と言われ、先生から言われた番号にFAXを送信したところ、後日、教育委員会から「この企画は何から目線ですか?」ともの凄い上から目線な電話がかかってきた。
・・・番号は記者クラブではなく、教育委員会であった。
そして、電話口で学校や博物館が主催するものなら売り込んでやってもいいが、個人が勝手に催すウォ―キング大会のようなものまで世話はせん!というようなことをヒステリックな女性に捲し立てられた・・・。
先生にやらされたことは一事が万事このような調子だった。

 

エピソード2
先生が某有名ミュージシャンを偶然、見つけて写真を一緒に撮ってもらったとはしゃいでいたことがあった。
その次の週、工房に行くとそのミュージシャンの夫の像を作ってくれという依頼があった、と言っていた。
まぁ・・・多分、嘘なんだろうけど、「そうですか~、すごいですね~」と言っておいた。
その次の週、工房に行くとそのミュージシャンからお礼のメールが来た、とメールをプリントアウトしたものを見せてきた。
そして、自分が1日だけ講師を頼まれている学校(同級生が先生をやっているというツテで授業をやっていた)で生徒に見せるパワポに「〇〇さんから依頼されて、✕✕さんの像を作りました!」と自分の仕事内容を自慢するスライドを入れて、「こうやって、オレはすごいんだぞ!オレの言うことを聞けー!ってやるんだよ」と言っていた。
・・・詐欺師だと思った。
有名人と一緒に写真を撮ったというエピソードだけで、ここまで膨らますか、という感じ。

 

典型的なモラハラ男はもっともらしいことを言って、相手の優位に立とうとする。
「自分は凄い。だから、言うことを聞け」というやり方である(言うことを聞かないと嫌がらせが始まる)
だが、私にはドレミの位置すら知らないような、全く基礎ができていない人が「武道館をいっぱいにしてやるぜ!」と息巻いているようにしか見えなかった。
何故、土台がしっかりしていない人がそこまで偉そうにできるのかというとやっぱり、田舎だからライバルがいないという所為と、他の生徒さんが医者の奥さんとか建設会社の奥さんとかセレブで優しくて、センスのいい奥さん方で、そういう人たちにゼロから教えて「先生、すごいわ~」と持ち上げられていたからだと思う。
そんな中、ただ存在しているだけでコンプレックスを刺激する小娘が入ってきて、洗脳して利用してやろうと思いきや、私がいつでも勝手に独自の道を行ってしまって自分の思い通りにならないので、イライラしているのが見て取れた。
モラハラをする人には自己愛性人格障害の症状が当てはまり、周りの人間も迷惑しているのだが、どこまでも自分が正しいと思っており、いつも自信満々なのである。
例えば、あなたが男で、若くもなく美しくもなく賢いわけでもない品のない女にもの凄い上から目線で「レベルが低い男ばっかりなのよね~」と鼻から煙草の煙を出して、自分のことをバカにされたら、どう思うだろうか?
私なら瞬殺である。
私が感じていたストレスは要するにそういう類いである。
ただ、自分のことは我慢できるが、いつぞや高校卒業したての青年を先生が弟子にしたことがあり、それはさすがに気の毒であった。
その子は大学に落ちて、進路変更してイラストレーターにでもなろうかな、とブラブラしており、たまたま先生の展示を見ていたらしい。
その子が先生の作品に惚れ込んで「弟子にしてください!」と言ってきたならまだしも、彼の話を聞いて「君、ぼくの弟子になって、大学だと思って毎日、ぼくの工房に通いなさい!」とスカウト(?)したらしい。
で、彼は毎日、通ってきて「青い鉛筆(ステドッラーというデッサン用の鉛筆のこと)を買ってこい」と言われ、コピー用紙にステッドラーの鉛筆でヤンセンの模写をさせられていた・・・。
余計なお世話だと思いつつも、あまりにもその青年が不憫なので「コピー用紙では鉛筆が乗らないから、デッサン用の紙でやった方がいいよ」とアドバイスしたり、デッサン用の鉛筆の削り方を教えたりしていたら、「ここに来たらね、こういうオネエサンもいるんだよ!」とまた自分の手柄されてしまった。
その後もその青年は先生の仕事を手伝わされたり、自動車学校に通うからと休むと怒られたり、「お前、生っちょろいから、バイトしてお金貯めて、夏休み1ヶ月海外を放浪して来い」などと無理難題をつきつけられていた(そういうのって人に言われてやるもんじゃないし)
あんなので、画塾代を取っていたら、ほんとうに詐欺師だと思う。
半年くらいで青年は辞めて行ったが、辞めて正解である。
しがみついていてもロクなことはない。
骨の髄までしゃぶられて、最後は借金の保証人にでもされてしまうかもしれない。
私があの工房に通って唯一勉強になったことは自信なさそうにしているより、根拠のない自信を持つことが自己プロデュースをするにあたっては必要であるということだけだった。
そして、あの青年がアーティストはみんなあんなもんだと思ったり、美術嫌いになったりしないことを切に願っている。

自己愛性人格障害の特徴 モラハラ加害者